原価計算の目的は、販売単価を決定するためにあります。
しかし、実際のところ販売単価というのは、こちら側の一方的な要望で決定されるわけではありません。当然のことながら。
相手が、こちらが提示した販売単価で了承するかどうかはわかりません。
こちらの要望が通らないのなら、わざわざ正確な原価計算をする必要がないのではないか?と感じる人もいます。
しかし、正確な原価計算をしなければ販売価格の決定が常に直観に頼ったものとなってしまって、いずれは損失が出ていても気づかない常態になってしまうことでしょう。
また販売単価決定という内部的なものだけでなく、外部の株主に報告したり税務署に提出したりと原価計算は外部報告のために行うという性質もあります。
ですので、原価計算というのは内部目的のためにも外部目的のためにも、いずれにせよ正確に行わなければなりません。
なんとなく適当に原価計算をやっておけばいい・・・というレベルを脱却してなるべく正確な原価計算をしていくという姿勢が大切です。
そして最終的には、販売単価の上昇を取引先に依頼することも必要になってきます。例えば、この単価ではうちには損失が出てしまう、企業としてやっていけない、だからもう少し販売単価を上げてほしい、とお願いすることも出来ます。
正確な原価計算に基づいて、なぜ販売単価を上昇するのか、なぜうちの会社はこの販売単価を希望するのか、ということが客観的な資料を基に言えれば説得力が出てきます。
相手側も購入先に赤字を出るとわかっていて値下げを要求するようなことはしないはずです。
もしそういう要求を当たり前のようにするのであれば、その会社は社会で存続が出来ないはずだからです。
なぜうちはこの販売単価で販売するのか・・・それを原価計算に基づいて自信をもって交渉出来れば、相手との話し合いも数字に基づいて感情を入れないで冷静に行うことが出来きます。
つまり平和的な感覚のもとに価格交渉が出来るということです。