事務所通信 平成29年6月号

事務所通信 29年6月

つれづれ日記 7回目 平成29年6月

平成29年6月1日 名古屋駅でTKCの継続MAS研究会が行われました。この研究会は、隔月で実施されており、舩橋会計は毎回全員でこの研究会に出席しております。
研究会ではいろいろな業種が例題として挙げられ、その業績を改善するためにはどのような経営助言が必要かを討論していきます。2時間の中で2回から3回ほど意見を求められるので、ドキドキしながらの参加です。
経営助言といっても経営コンサルタントのように社長に具体的な経営アドバイスをするわけではありません。なぜなら、どのようにすれば業績が向上するかということは、私達よりも社長の方が的確に見えているからです。その道のプロである社長に、その道の素人である税理士事務所の人間が経営アドバイスをすることは、ナンセンスだと我々も承知しているからです。
ですので継続MASで社長に経営助言をさせていただくときは、私達はあくまでも客観的な数字をもとに会計のお話しをさせていただいて、その先の具体的な経営や営業戦略は社長に考えていただきます。数字を使った会話から経営を考えるきっかけをもっていただければと考えています。
もしも社長お一人で経営の改善策や戦略を考え反省することが出来るなら、私達のような経営助言をする存在は必要ないと思います。しかし、一人で経営改善や戦略を考え反省することは、なかなか出来ることではないと思います。人は人と会話をすることによっていろいろなことを考えることが出来るからです。
例えば、孔子やキリストや釈迦は、書物を一切のこしておりません。聖書はキリストの弟子たちがキリストの死後に、キリストとの会話を思い出して書き記したものです。先日ソクラテスの弁明という本を10年ぶりくらいに読みました。その内容は全て会話です。ソクラテスも会話によって思考をして、自己発見をしたようです。
学校の授業でも良い授業というのは、ディスカッションの時間が設けられていると思います。自分の意見を言うことによって、会話によって、自分の定点を見つけていくのは、とても効率の良いアプローチだと思います。
セブン&アイ・ホールディングスでは、全国から管理職を集めて東京で会議を行うと聞きました。今の時代、スカイプやテレビ電話でも会議が出来ますが、多額の経費を使っても社長の生の声を管理職に聞いてもらっています。これは、生の会話には多額の経費を上回る目に見えない効果があると確信しているから出来ることだと思います。
会話によって思考することが習慣化されている人は、会話をワザ化していると言っても良いと思います。そういえば舩橋会計のお客様にもそんなすごい人がたくさんいらっしゃるような気がします。
ちなみに私は5歳の息子と会話しながら、息子に多くのことを教えてもらいます。また仕事で困ったときは、スタッフと会話をしてアイデアをもらい助けてもらいます。もしも私が一人きりで孤独に頭を抱えていても、大した考えは浮かばないだろうと思います。そう思うと多くの人に助けられていると感じます。

誇り高く生きる ファミリー企業の経営者

税理士として経営者とお話しさせていただくと、「うちはどうせ小さな会社だから」とか「うちのような商売は下請けの下請けだから」と謙遜とも卑下ともとれるコメントを言われる方によく会います。大企業であれば、だれもが文句なしに立派な会社というのでしょう。
だとしたら名もないファミリー企業は社会では小さな存在なのでしょうか?いえいえ、私はファミリー企業こそが社会で最も重要な存在だと考えております。その理由としては、ファミリー企業の経営者は世界で最も厳しい過酷な環境を生き抜いている尊い存在だからです。
大企業の社長は、雇われ社長です。数年すれば、次の社長にバトンタッチします。しかし、ファミリー企業の社長は、タイムカードなんてありません。とにかく自分が実際にお金になるアクションを起こさなければつぶれてしまいます。またここは日本です。能力の高い海千山千の経営者がいくらでもいます。さらに借金が返済できない場合には、自分の家や土地がとられてしまう可能性もあります。何か事故が起こればすぐに損害賠償責任です。
もちろん公務員や会社員も大変厳しい状況でお仕事されています。しかし、ファミリー企業で働く経営者は、あまりにも過酷な環境に身を置いておられます。そんな環境で戦士として闘っている社長は、社会に希望と勇気を与えていると思います。
またファミリー企業は、経理に時間とお金を注ぐことが十分に出来ないこともあります。そんな中で日本は、自己申告制度を採用しております。誠実に正しい税務申告をファミリー企業がするはずだ、という信頼のもとにこの制度が成り立っています。ただでさえ資本の少ないファミリー企業が自分の負担で税務申告を正しく行うのは、お金の面でも労力の面でも大変なことです。もしも多くのファミリー企業がウソだらけの税務申告をしたら、日本はどうなるでしょう?おそらく自己申告制度が停止され、ファミリー企業の財務が国の管理下におかれます。そうなると実質的に社会主義国と同じ状態になります。つまり日本の会社の大多数を占めるファミリー企業が誠実な税務申告をしているから、日本の民主主義制度が維持出来ているのです。
以上の2点の理由から、私はファミリー企業の経営者は、尊敬されるべき存在だと思います。例えその業務が小さくても社会的認知が低くてもです。大きな利益をあげなくても、会社を存続させているだけで十分に社会的使命を果たしていると思います。
誰かと比べる必要は全くないと思います。そして、誰かに勝とうとする必要も全くないと思います。一人一人の経営者の小宇宙は、比べることが不可能なほど価値が高いですから。ファミリー企業の経営者であり続ける、ただそれだけで胸に隠れた誇りをお持ちいただいても良いであろう、と思います。
裏面の新聞記事の補足です。赤字AからEまでの部分。

A:給与や処遇面を変えるとあります。しかし、その前にやれることはたくさんあります。例えば、誰でも出来る仕事は、パートさんにやってもらうというのはどうでしょう。社会保険加入して専門知識を得た正社員に、「誰でも出来る仕事」をさせてはいないでしょうか?

B:建設・採掘の有効求人倍率が6.07倍とあります。これは、求職者一人に対して、6.07社の求人があるということです。

C:人手不足は外部委託で・・・とありますが、外部委託は給与よりも割高です。外部委託費は消費税込みの経費ですので、納付する消費税は減少します。しかし、外部委託費自体が割高なので、資金繰りを圧迫します。

D:別の工程も身に付けさせる「多能化」とあります。一人でいろいろな業務を担っていただければ、それだけ効率もよくなり、今の人数で仕事が回るということですね。この場合には、誰がどんな仕事をどこまで進捗しているのかというミーティングが大切になります。

E:新しいテクノロジーで人件費をおさえます。会計ですと、フィンテック(通帳・キャッシュカード自動取込)や証憑ストレージ(領収書をスキャナーで自動取込)を使えば(いずれもTKCの機能)、会計担当者の人件費が大幅に削減できます。

社長の着眼点
①  人件費で重要なのは、労働分配率を時系列で把握することです。労働分配率とは、限界利益の中に占める人件費の割合です。
限界利益=売上高-変動費  労働分配率=人件費÷限界利益率
②  労働分配率を把握したら、次に一人当たりの労働分配率を把握します。
③  次は、一人当たりの限界利益金額と一人当たりの給与金額を比較します。そうすると、従業員さんが自分の給料分を稼いでいるかが分かります。これを従業員さんにも見てもらいます。
④  次は、前期(出来れば過去3期分)の労働分配率と経常利益を比較します。労働分配率が下がっているのに、経常利益が上がっていたら従業員さんの能力が向上していると予想されます。反対に労働分配率が上がっているのに、経常利益が下がっていたら離職が多く技術が継承出来ていない可能性があります。
⑤  さらに近隣の同業者は、どれくらいの労働分配率なのかをTKCのBASTを使って比較します。まずは毎月の変動損益計算書の労働分配率を見て下さい。毎月見ていると、数値が大きく変動しますので、何か発見があると思います。