建設業会計

未成工事支出金

建設業会計では、材料費や外注費が発生した場合には未成工事支出金という資産科目を使います。学習上ですといったん材料費などの費用にしておいてから未成工事支出金に振り替えると書いてあることが多いです。実務では、初めから未成工事支出金を使うケースが多いですし、おそらくその方が楽です。TKCのDAICも材料費などを支払った場合には、いきなり未成工事支出金で処理します。仕訳にしますと次のようになります。

未成工事支出金〇〇/工事未払金〇〇

貸方は、工事未払金という負債科目を使います。現預金にならないのは、発生主義を採用しているからです。もちろん現金主義で行っても良いのですが、建設業の財務は早く情報を経営者に報告する必要があるため、発生主義を採用する方が適切だと考えます。

この未成工事支出金と工事未払金は、両方とも工事台帳とつながる科目です。イメージとしては、以下の順序となります。

① 請求書が仕入先や外注先から送られてくる。

② 経理担当者が仕訳を起こして、会計ソフトに入力する。データベース上で現場ごとの工事台帳とつながる。

③ 会計ソフトとともに販売管理ソフトにも工事未払金額を入力する。

④ 会計ソフトの工事未払金と販売管理ソフトの工事未払金の一致を確認する。

⑤ ときおり未成工事支出金一覧表をプリントアウトして上司に確認してもらう。

未成工事支出金は、その物件が完成したときには、一気に経費科目に振り替えられます。TKCのDAICでは、自動で一気に振替伝票を作成してくれます。仕訳にしますと次のようになります。

材料費○○/諸口○○

外注費○○/諸口〇〇

諸口 〇〇/未成工事支出金○○

そしてその現場の未成工事支出金残高はゼロとなります。

これは、完成工事基準を前提にお話ししております。

未成工事支出金は、建設業独特の科目です。初めて建設業会計をやる方は、この科目がなかなか理解できないでしょうね。

建設工事会計は、費用と収益を同じ月に計上したいという考えがあります。経費が先行して発生するので、完成するまで未成工事支出金という資産で保留状態にしておいて、完成したら一気に経費にする。そして同じ月に経費と売上を計上する。そのために未成工事支出金があると考えて下さい。