個別原価計算

建設業は、1件ごとに受注します。例えば、鈴木邸の新築を1件受注した、というようにその現場ごとに受注発生します。そのため建設業は個別原価計算という方法を採用します。

個別原価計算とは、現場にナンバーを付けて管理し、その現場ごとに何がどれくらい原価として発生したかを記録することです。会計ソフトも現場ごとに台帳を作成し、未成工事の仕訳に現場番号も入力していくことになります。

TKCのDAIC2(ダイクツー)という会計ソフトを舩橋会計は、使用しておりますが、当然そのソフト内でも現場ごとにナンバーを付して原価計算していきます。

弥生会計やフリーなどの一般的なソフトでは、この原価計算が出来ません。建設業専用の会計ソフトでなければ個別原価計算が出来ないことになります。そう考えると建設業の会計というのは、限られたソフトしか使えないですね。

たまに一般的な会計ソフトで建設業会計をしている会社を見かけます。当然、会計ソフトの中では現場台帳が作られておりません。

会計ソフトの中で仕訳を入力しながら同時進行で自動的に現場台帳を作ってくれる会計ソフトを使用しなければ、建設業はうまく会計処理が出来ないはずです。

合計でなく、現場ごとの個別原価計算をする必要があり、そのためにはそれ専用の建設業用会計ソフトを使用する必要がある、と覚えておいてください。

TKCのDAIC2は、とても使いやすいソフトで、舩橋会計なら丁寧にその操作方法をご指導させていただきます。

未成工事受入金

建設業会計には、未成工事受入金(負債)というものがあります。建設業は外注費や材料費など原価に多額の金銭がかかり負担が大きくなるため、頭金や中間金を受け取ることがあります。完成する前に受け取っているので、売上にしないで未成工事受入金という科目を使います。

一般会計でいうところの前受金と同じです。未成工事受入金は現場ごとに分けて管理する方がわかりやすいので、補助科目や枝番号などをつけて現場ごとにその残高を把握すると良いです。

仕訳がおきると下記のようになります。

1.頭金や中間金を受け取ったとき

現預金70/未成工事受入金70

2.完成して引き渡しをしたとき

未成工事受入金70/諸口70

現預金30/諸口30

諸口100/完成工事売上高100

この未成工事受入金は、完成したときにはゼロになります。完成しているのにゼロにならない、とか途中で残高がマイナスになる、ことはあり得ません。なにか処理ミスが起きているはずです。

このようなことを発見するためにも、未成工事受入金は現場ごとに(施主ごとに)残高を把握します。

工事未払金

建設業会計には工事未払金という科目もあります。これは、一般会計でいうところの買掛金(負債)となります。だったら工事未払金でなくても、そのまま買掛金でいいんじゃないの?という声も聞こえてきそうです。確かにそうです。ただ多くの建設業専用会計ソフトでは、工事未払金を使っていますので、この科目を使用することになります。

仕訳で考えてみます。材料を購入するために前渡金を仕入先に支払ったとします。

前渡金50/工事未払金50

では次に80の材料の請求書がきたとします。

材料80/諸口80

諸口50/前渡金50

諸口30/工事未払金30

ここで工事未払金(負債)が出てきます。そしてその後、この30を支払ったとします。

工事未払金30/預金30

工事未払金は、下請の数分発生します。下請が20社あれば20種類の工事未払金が発生するということです。そのため下請先ごとの工事未払金の金額をそれぞれ明確にして管理する必要が出てきます。そのため、工事未払金はまとめて把握するのでなく、補助科目や枝番などを設定して細かく残高を把握するようにします。

基本的には、支払えば工事未払金の残高はゼロになります。そしてマイナスになることはありません。同じ残高が長期間残っているならば、おかしな処理がないかなと注意します。

工事未払金の下請先ごとの残高が毎月明確になっている・・・これは建設業会計に限らず一般会計でも大変重要なことで、かつ、基本的なこととなります。

未成工事支出金

建設業会計では、材料費や外注費が発生した場合には未成工事支出金という資産科目を使います。学習上ですといったん材料費などの費用にしておいてから未成工事支出金に振り替えると書いてあることが多いです。実務では、初めから未成工事支出金を使うケースが多いですし、おそらくその方が楽です。TKCのDAICも材料費などを支払った場合には、いきなり未成工事支出金で処理します。仕訳にしますと次のようになります。

未成工事支出金〇〇/工事未払金〇〇

貸方は、工事未払金という負債科目を使います。現預金にならないのは、発生主義を採用しているからです。もちろん現金主義で行っても良いのですが、建設業の財務は早く情報を経営者に報告する必要があるため、発生主義を採用する方が適切だと考えます。

この未成工事支出金と工事未払金は、両方とも工事台帳とつながる科目です。イメージとしては、以下の順序となります。

① 請求書が仕入先や外注先から送られてくる。

② 経理担当者が仕訳を起こして、会計ソフトに入力する。データベース上で現場ごとの工事台帳とつながる。

③ 会計ソフトとともに販売管理ソフトにも工事未払金額を入力する。

④ 会計ソフトの工事未払金と販売管理ソフトの工事未払金の一致を確認する。

⑤ ときおり未成工事支出金一覧表をプリントアウトして上司に確認してもらう。

未成工事支出金は、その物件が完成したときには、一気に経費科目に振り替えられます。TKCのDAICでは、自動で一気に振替伝票を作成してくれます。仕訳にしますと次のようになります。

材料費○○/諸口○○

外注費○○/諸口〇〇

諸口 〇〇/未成工事支出金○○

そしてその現場の未成工事支出金残高はゼロとなります。

これは、完成工事基準を前提にお話ししております。

未成工事支出金は、建設業独特の科目です。初めて建設業会計をやる方は、この科目がなかなか理解できないでしょうね。

建設工事会計は、費用と収益を同じ月に計上したいという考えがあります。経費が先行して発生するので、完成するまで未成工事支出金という資産で保留状態にしておいて、完成したら一気に経費にする。そして同じ月に経費と売上を計上する。そのために未成工事支出金があると考えて下さい。

完成工事未収入金

建設業会計特有の勘定科目に完成工事未収入金というものがあります。これは、一般経理の売掛金に該当するもので、定義としてはそれほど難しく考える必要はありません。

ただし処理の過程の中で、この完成工事未収入金の取引先ごとの残高を正確に出すのは意外に大変です。ですので会計ソフト(TKCならDAICダイク)を使用する場合には、完成工事未収入金の残高を合計で出すのでなく、取引先ごとに出す形式に設定する必要があります。

仕訳も注意する必要があります。建設業は完成前に頭金や中間金をもらうことがあります。それは未成工事受入金(前受金と同じ)で処理するのですが、その残高を完成工事売上高(売上と同じ)から引いた金額が完成工事未収入金となります。・・・難しいですね。仕訳で考えてみます。

①まず中間金を受取ります。

現金預金 1,000 / 未成工事受入金 1,000

②次に完成して売上を計上します。

完成工事未収入金 3,000/ 完成工事売上高 3,000

未成工事受入金 1,000 / 完成工事未収入金 1,000

(完成工事未収入金の残高は)

3,000-1,000=2,000

このようになります。この残高を取引先ごとに把握するために、完成工事未収入の勘定科目は、補助科目(弥生会計なら)とか20番管理(TKCなら)などにして、各々で残高把握できるように設定します。

そして毎月月末に長期滞留債権がないかを確認します。建設業は、資金繰りが命という部分がありますので、長期に渡り回収が出来ないお金をそのままにしておくと、会社を危機におとしいれます。

経理担当者や財務担当者がそういった長期滞留債権の有無を経営者に報告できるといいですね。

※愛知県小牧市の税理士。春日井市、江南市、名古屋市などでも活動しております。

建設業会計は特殊です

まず初めにお話ししておかなければならないことは、建設業会計は特殊ということです。一般の商売の会計処理とは別物であるということを認識してください。

一般の商売の会計は単純です。物を買って物を売るだけですので。使用する会計ソフトも弥生会計やフリーなど一般のもので処理できます。しかし、建設業会計は、会計ソフトも特殊なものを使用することになります。

その理由は、建設業会計は、個別原価計算を採用するからです。新築やリフォームなどは、当然ですが現場があります。その現場ごとに売上や経費が発生します。また売上計上時期は通常完成時となりますから、完成までにその現場で発生した費用は、資産計上して完成と同時に一気に費用計上します。

このように建設業会計は個別原価計算(現場ごとの計算)を必須とするので、それが出来る専用のソフトが必要となります。TKCではDAIC(ダイク)というソフトになります。

仮に建設業会計を一般の会計ソフトで行うとします。そうすると外注費や材料費を支払ったときに経費計上します。完成して請求書を発行したときに売上計上します。これでは経費と売上が計上される月がずれてきます。費用と収益が対応しなくなります。

一般の会計ソフトでは、ある月の試算表はすごく利益が出ていて、ある月の試算表は赤字になったりします。そうなるともう試算表を信用することが出来なくなります。費用と収益を同じ月で同時計上させるには、建設業専用の会計ソフトでなくては物理的に無理なんですね。

建設業専用会計ソフト(TKCならDAICダイク)は、操作方法の難易度が高いです。舩橋会計は、そのソフトを熟知しておりますので、丁寧に操作方法をお客様にご指導させていただくことが可能です。

建設業専用会計ソフトを自社で扱えるようになるということは、強力な経営上の武器を手に入れることになります。

愛知県小牧市の税理士、春日井市、江南市、名古屋市などで活動しております。