― 税理士が解説する「複利の力」―
はじめに|なぜ投資信託は長期で増えやすいのか
投資信託は「値上がり益」だけでなく、分配金(配当)をどう扱うかによって、将来の資産額に大きな差が出ます。
特に重要なのが、分配金を受け取らず再投資する仕組みです。
この仕組みの正体が、よく耳にする**「複利の力」**です。
単利と複利の違い
まずは基本を整理します。
単利とは
- 元本に対してのみ利益がつく
- 利益が利益を生まない
例:
100万円 × 年3%
→ 毎年3万円ずつ増えるだけ
複利とは
- 元本+これまでの利益に対して利益がつく
- 利益がさらに利益を生む
例:
1年目:100万円 → 103万円
2年目:103万円 → 約106万円
3年目:106万円 → 約109万円
👉 年数が長くなるほど、増え方が加速します。
投資信託で複利が働く仕組み
投資信託では、分配金について次の2つの選択肢があります。
- 分配金を受け取る
- 分配金を再投資する
再投資を選ぶと何が起きるか
分配金を再投資すると、
- 分配金で投資信託の口数が増える
- 口数が増えることで、次回の分配金や値上がり益が増える
- その増えた分が、さらに次の利益を生む
👉 これが複利の正体です。
数字で見る「再投資の効果」
仮に次の条件で比較してみます。
- 元本:100万円
- 年利:3%
- 運用期間:20年
分配金を受け取った場合(単利的)
- 最終資産:約160万円
- 途中で分配金を消費してしまえば、資産の伸びは限定的
分配金を再投資した場合(複利)
- 最終資産:約180万円超
※ 同じ利回りでも、再投資するかどうかで大きな差が生まれます。
税理士として注意したい税務上のポイント
複利効果を考える際、税金の視点も欠かせません。
分配金を受け取る場合
- 分配金に対して課税(特定口座・一般口座)
- 税金を支払った後の金額しか再投資できない
再投資型の場合
- 分配金を都度受け取らないため、課税の繰り延べ効果がある
- 長期運用では、税引後リターンに差が出やすい
👉 **「複利 × 課税繰延」**は、資産形成において非常に強力です。
よくある誤解|分配金が多い投信=有利?
「分配金が多い=儲かっている」と思われがちですが、必ずしも正しくありません。
- 分配金の原資が元本の場合もある
- 分配金を出すほど、基準価額は下がる
- 再投資できなければ複利が働きにくい
👉 資産を増やしたい人ほど、分配金の出し方に注意が必要です。
まとめ|投資信託は「複利を味方につける」商品
- 投資信託の本当の強みは長期 × 再投資
- 分配金を再投資することで、複利の力が最大限に働く
- 税務面でも、再投資型は有利になりやすい
「利益を受け取らず、働かせ続ける」
これこそが、投資信託でお金が増えていく最大の理由です。
税理士としての一言(締め)
短期の値動きよりも、
仕組みを理解して、時間を味方につけることが、資産形成では何より重要です。
