経営のコツ

マズローの欲求段階

経営理念を考える際に、マズローの欲求段階もあわせて考える必要があります。

マズローの欲求段階とは、人間の欲求を以下の順序で満たそうとすることを明確にした理論です。

1.まず初めに生理的欲求を人間は満たそうとします

2.次に身の安全を守りたいという安全の欲求を満たそうとします。

3. 上記2の欲求が満たされると次に、所属と愛の欲求を満たそうとします。所属と愛とは、他者とかかわりたい、組織に属したいという欲求です。

4.次は承認欲求を満たそうとします。これは、他者から自分の価値を認めてもらいたいという欲求です。

5.そして最後に自己実現の欲求が出てきます。この自己実現こそが、経営理念への欲求ですね。

通常の人間は、1から5の順序に欲求が発生します。しかしこういったセオリーを超越していきなり5の自己実現を求める人というのも世の中にはいます。

芸術家がそういうタイプですね。お金とか関係なく、美しいものや真実を追求しようとする芸術家は、まさに全てを捨てて5の自己実現を目指すタイプです。

また学者にもこういったタイプの人がいます。

通常の経営者は、1から4の欲求が満たされなければ5の欲求に移行しません。

まれにいきなり5の欲求を求める経営者もいますが、こういった経営者は芸術家にちかい感性をもっています。アップルの経営者だったスティーブジョブスなどは、いきなり5の自己実現を目指すタイプの象徴です。

では舩橋は、どのようなタイプの経営者を理想と考えているのか?

私は、1から5を順番に求めていく普通の経営者で良いと思います。やはり下層の欲求を満たさなければ自己超越した欲求を求めることはなかなかできないと思います。

経営理念よりもまずは明日のお金、それでよいと思います。人間はそれほど強くはないと考えるから。お金に余裕ができて、心の余裕もできて、そして経営理念を求めていくという順序でもよいと思います。

ただし本当に全く経営理念のない状態で経営戦略を考えると、利潤最優先でかえって信用をなくし、結局利潤を得られない可能性もあります。

だからお金を得るために経営戦略を立てつつも、なんとなくでもいいから、少しだけでもいいから、「誰のためにこの仕事をしているのだろう」という公共的視点をもつとよいと思います。

そういう他者視点をもちながら経営戦略を考えていくと、その経営戦略そのものが独特の付加価値の高いものになっていきます。オンリーワンにちかずきます。

なぜなら他者の事を基準に考えることのできる人は、ほとんどいないからです。

みんな明日のお金の事しか考えられません。だから、あえてその思考から離れて付加価値をつけるということです。

それが回りまわって、お金をよびます。急がば回れですね。