事務所通信

事務所通信 平成30年7月

平成30年8月3日
つれづれ日記 18回目

経営者の皆様、いつもお仕事ご苦労さまです。今年の夏は異常な暑さで、各所で気温が40度ちかく上がっております。会計事務所なので、クーラーの聞いた室内で執務する場合が多いので、夏の暑さとはあまり縁がない、と思われる方も多いと思います。

確かに一般のお仕事よりは、エアコンの効いた室内にいる時間が長いのですが、私の場合は、公的交通機関を利用することが少なくありませんし、岩倉駅までは自転車で行くことが多いので、この激暑と無縁でいられるというわけではありません。

むしろそんなに暑さに適応していない体で、アスファルトからの照り返しを受けながら道を歩いていると、ここはフライパンの中なのか?と錯覚してしまうほどです。そして、顔が本当に焼けてしまうのではないか、という恐怖さえ感じます。その日の夜、名古屋の日中の気温を確認したら40度に達していました。そうか40度だったのか。どおりで生命の危機を感じたわけだ。

電車に乗っていく先は、いろいろとあります。その中でもとりわけ銀行が開催する経営者セミナーというのは、なかなか大変な作業となります。最近では平成30年6月に三菱UFJ銀行が主催する経営者相談会にアドバイザーとして出席させていただきました。平成30年8月は、中京銀行の事業計画策定支援セミナーにアドバイザーとして出席させていただきました。そして現在は、名古屋商工会議所新瑞支部開催の事業計画作成セミナーにアドバイザーとして出席させていただいております。

こういった企画では、多くの経営者の方にお会いすることが出来ます。そして、そのお話しをお聞きする中で同じ問題を抱えているということに気付きます。それは、事業承継の問題です。多くの経営者は、事業を2代目や3代目に引き継ぐための方法に苦心されておられるのです。幸い舩橋会計は、事業承継に対応することが出来る事務所となっております。これは意図して事業承継に取り組んでいるというよりも、お客様からご相談を受ける中でその経験を積ませてもらったという感じです。

事業承継を行うには、まず事業計画の作成が必須となります。未来5年間から10年間の資金繰り計算をしなければならないからです。事業承継にもお金がかかるんですね。次は、株の評価と相続シュミレーションです。そして最後に特例事業承継税制の適用となります。どれも特殊な計算となりますが、TKCのソフトを使用して舩橋会計ではそれらを行っております。

舩橋会計は、これからもTKCシステムを活用して、事業承継に取り組んで行きたいと思います。そして、この地域の会社が一つでも生き残れるように社会貢献したいと考えます。事業承継が失敗すれば、この地域の会社が一つ消えます。それに成功すれば会社の存続だけでなく、雇用が守られます。雇用が守られれば、その家族が幸福になります。その幸福な中で育った子供たちは、20年後30年後に誰かを助けるかもしれません。もしかしたら私の子供を助けてくれるかもしれません。私達は、みんな遠い未来でつながっているのかもしれません。そう考えると、自我とか他人とかそういった区分する感覚は、持っていない方が生きやすいのかもしれません。そんなことを考えながら事業承継その他の業務に取り組んでおります。


クイズ7月答え

損益分岐点とは、利益がちょうどゼロになる時点での売上高をいいます。つまり、その損益分岐点を超えれば、超えたところから利益が発生します。

損益分岐点=固定費/限界利益率

問題に当てはめると、固定費/限界利益率=480/0.6=800となります。そしてこの800を売上高として、実際に利益がいくらになるか計算してみます。
800×限界利益率0.6=480
480-固定費480=0利益となります。
この問題の会社は、売上高が800以上なければ利益が出ないとわかりました。
TKCの変動損益計算書の特徴は、この限界利益率が常に表示されていることです。限界利益率がわかれば、計算機をたたくだけで、簡単に損益分岐点が出ます。


死なない時代
裏面をお読みください。裏面では、死ぬ直前で死ななかった歯科医の本当にあった話を挙げています。
節税目的で保険契約をする経営者の方は、死亡保険しか加入していないケースが多々ございます。確かに死ねば多額の保険金が遺族に入るのですが、死ななかった場合はどうでしょうか?
例えば、交通事故で植物状態になった場合や機械に巻き込まれて両手を失った場合、あるいは失明をした場合、そんな場合にも多額の保険金がもらえる契約になっているでしょうか?
完全に死ぬことだけを前提とした保険契約は、危険です。現在の高度医療では大事故でも生命を維持させることは可能になっています。死ななかった場合にも保険金がもらえるように契約をしなければなりません。
つまり保険契約は節税のためにするのではなく、それは副次的効果であり、本来は残される従業員やご家族が困らないように準備しておくためのものです。
保険契約の内容で心配な面がありましたら、舩橋会計にご相談ください。舩橋会計は、求められても求められなくても常に同じスタンスでお客様に助言させていただきます。「愛されても愛されなくても変わらない愛、それが本当の愛だ」とゲーテは言いました。私達も常に同じ距離でお客様に真実をお届けする役目があると考えております。私達にとって保険は商品ではなく、大切なお客様をお守りするための手段となります。


中京銀行事業計画策定支援セミナー

去る平成30年7月26日、名駅大同生命ビルにて中京銀行事業計画策定支援セミナーにアドバイザーとして参加させていただきました。この事業計画策定支援のために費やした時間は、40~50時間程度です。合計で6社が参加して、自社の事業計画を発表します。
事業計画作成というと、ただ単に将来の希望的観測にたって数字を並べるだけで、そんな暇があったら目の前の仕事を一つでも片付けた方がいい、と思われる方も多いかもしれません。しかし、事業計画作成では計画作成そのものよりも、もっと深い人間的な問題と経営者は向かい合うことになります。
例えば、以下のような問いかけをさせていただきます。
●自社ビル建設と計画にありますが、必要性はどれくらいあるのでしょうか?資金繰り計算しますと、年間の預金残高は2,000万円程度減少します。
●社長は、次期社長に株も渡したいとおっしゃいますが、これは次期社長をやりたいという人がいる前提です。株を取得するには個人が払えないくらいの所得税が発生します。平の取締役になってそれなりの退職金をもらって気楽に年金生活をする方が楽だと考える人は多いですよ。私だったら、むしろ株は欲しくないです。
●社長はご自分のことを発明家だと自負されております。しかし、高額な器具を購入したにもかかわらず、それが生かされておりません。アイデアを出す力は、確かに社長にはあります。しかし、それを継続させていく地道な継続性はあるのでしょうか?
●社長は2代目に情熱が感じられないとおっしゃいます。でも2代目は従業員を大切にしたいのだと感じます。これからは、従業員の福利厚生にも力を入れないと、良い人材が入社しないと考えていると思います。組織というものを造りたいんでしょうね。だから残業しないのではないですか?

これを隣で聞いていた先代社長の奥さんは、涙を流しました。その涙の意味は、私にはわかりません。何か遠い記憶をたどっているような、だけど、誰にも言い訳をしないと自分で決めているような、静かだけど力のある涙でした。

また先代社長からは、「今まで僕に反対意見を言う人はいなかった。自分と違う意見を言ってくれる人が必要だよ」、とおっしゃっていただけました(補足ですが、20時間程度、先代社長のお話しをお聞きしてから厳しめの質問をしております。いきなり一方的に質問をしているわけではありません)。

事業計画発表会が終了した帰り際に、2代目社長からセカンドオピニオンになって欲しいとのご依頼を受けました。その理由は、顧問契約をしている税理士さんが税金の話しかしてくれないから、舩橋さんなら冷静沈着に経営の話をしてくれるからということでした。
そして早速、毎月の社内会議に参加させていただくことになりました。私は誤解のないように、あらかじめ次のようなお話しをさせていただきました。
「私は会議のテーマを発案したり、資料の用意はさせていただきます。しかし、会社の深い部分に干渉することはいたしません。あくまで側面的にサポートするだけです。積極的なスタンスのアドバイスというのは、長く続けることが出来ないからです。また社内会議を行うと、少しづつではありますが、確実に会社は変わります。そのためには会計資料を使って数字に基づいた話をして、個人攻撃をしないことが重要です。そしてなるべく多くの人、できれば従業員全員に出席してもらう方が効果はあがりますよ」

社内会議というのは、別に税理士がいなくても出来るはずです。ではなぜ、私は税理士が参加する社内会議が会社を変えると考えているのでしょうか?
その理由は、こうです。
通常、社内会議を開くと、その内容の多くは、社長の独演会になってしまう可能性が高いからです。またそうならなくても、テーマが一定の方向に向かなくて、毎回短期的、現在の目に見える問題だけを話し合う、という現場処理的な会議になってしまうケースが多いからです。またその問題自体に社長が深くかかわっているために、誰もその問題に触れることが出来ないというケースもあります。

では社内会議には、税理士でなくても、経営コンサルタントや社外取締役のような、その道のプロに来てもらえばいいじゃないか、という疑問も沸き上がります。確かにその通りです。しかし、それらのプロは、資金繰りの計算が出来ません。会社の生命線は、資金繰りです。赤字でも資金が足りれば、会社は潰れません。黒字でも資金が不足すれば、会社は潰れます。資金繰りには、★借入返済★資産購入★減価償却★消費税★法人税等★保険金支払★売掛金回収★買掛金支払など実に多くの要素が関係します。1年後の資金繰りを予想することは会計を仕事にしている専門家でも難しいです。私自身も継続MASを使わなければ計算できません。ましてや会計の知識のない人が、エクセルや計算機で資金繰り予想するということは不可能です。
ですからその会社のお金の流れを把握しており、資金繰りも計算できる税理士が、社内会議に入って、その戦略が財務上耐えうるか確認することは有意義なことなのです。

今回の中京銀行さんの事業計画策定支援セミナーは、14回目となります。私は、これで2回参加させていただきました。TKCの税理士さんなら一度は参加してみたい人気のある企画です。こういった企画にエネルギーを使って下さる中京銀行さんと㈱TKCさんに深く感謝いたします。私にとってこういった企画は、一つの道場です。そこで鍛えて、現在のお客様のお役に立てれば、これ以上幸福なことはありません。
冷静沈着。今回は、2代目社長に何度もそう言われたな。実際の私は、冷静沈着ではありません。いつもあせってばかり。いろいろと心配で仕方がありません。勘違い。でも勘違いでいい。私を必要としていただける場所があるなら、どこへでも行きます。