事務所通信

事務所通信 平成29年8月

つれづれ日記

お盆も過ぎ、虫の音も闇夜に響く夏の終わりという季節に入りました。残暑厳しい中いかがお過ごしでしょうか? お盆は、あの世からご先祖様がこの世に帰ってこられる、特別な期間だといわれます。真っ暗な中で、ロウソクを付けて祈りをささげていると、死んだおばあちゃんが笑っているような気がします。またおじいちゃんは、私が生まれる前に死んでしまったのですが、そのおじいちゃんもそばに来ているような気がします。
死者の気配を感じると、私は心がたいへん落ち着きます。そして、なんだかいろいろな人に対して感謝の念がわいてきます。また心が解放されて、疲れがとれていくような気もします。この感覚は、読書をしているときの感覚に似ていると思います。
読書も死者とつながる行為ですね。夏目漱石を読んで
いると、となりに漱石が座っていて、「舩橋くん。それではダメだよ」と、助言をしてもらっているような気になります。
うまく経営をされている社長さんは、何かしらの行為で闇や死者とつながっているケースが多いと思います。またお墓参りが嫌いという人でも、長時間の散歩や就寝前に天井を見つめるなど、本人は意図しないで瞑想行為を行っている場合も多いと思います。
商売が成功するという保証は、どこにもありません。すごく頭のいい人が、すごい戦略を立てても成功するかどうかわかりません。すごく財産があってすごく人脈のある人が成功するか、というとそうでもありません。どこか運が強くて、お目出たい人、なんとなく波にのっているような人が成功したりします。もうこれは、理屈ではありません。
もう少ししたら、お彼岸が来ます。秋分の日、の前後3日間くらいですね。秋分の日は、昼と夜の長さが同じになります。太陽が真東から上がって、真西に沈みます。こういった自然の営みは、私達人間ではどうすることもできません。しょせん、私達人間の力などしれている、と感じます。自分の力では、どうにもならない、地球のオキテ。そんな秋分の日に、死者の気配を感じれば、心も落ち着くような気がします。

社長力をアップする方法
みなさまは、金融機関の人をどのように捉えていらっしゃいますか?信用金庫や銀行や農協は、お金を預けてお金を借りる所、と認識されておられると思います。もちろんその通りです。しかし、それだけでは、足りないと思います。
金融機関の方は、私達が思っている以上に多くの経営のヒントをお持ちです。多くの会社を見てきておられるので、どのような会社が倒産しやすいか、どのような経営をすると伸びていくか、ということを経験値としてもっておられます。
また同地域の同業種の会社は、どのような経営をしていて、どのような強味をもっているのか、という情報もお持ちです。つまり金融機関の方は、こちらが教えを乞えば、よい教師となってくれるのです。ですから、金融機関の方が会社に訪問されたら、お茶の一杯も出して、いろいろと聞いてみると良いです。多くの情報をいただけます。
さらに、可能なら金融機関の方を相手に、会社のプレゼンテーションをして下さい。短い時間で自社をアピールする練習になりますし、失敗をしても何もマイナスがありません。また自社の財務的な説明も金融機関の方にしてみてください。今後大きな取引が発生したら、社長自らの言葉で財務説明をしなければいけない日が来るかもしれません。
一番まずいのは、金融機関の方に経営状況を聞かれたときに、「よくわかんないから、資料は全部税理士にあずけてあるから、税理士に電話して聞いといてよ」という対応です。金融機関の方は、「わかりました。税理士に聞いておきます」と笑顔で応えることでしょう。でも心の中では、「自分の会社の状況も説明できないのか、この人にお金を貸すのは怖いな」と思うはずです。もちろん自計化していないと、自分の言葉で会社の経営状況を説明できません(自計化とは、自社で会計データを入力すること)。
金融機関の方は、頭を下げて「お金を借りてください」と言われるかもしれません。しかし、あなどってはいけません。金融機関の方は、私達が欲しいと思っている情報やノウハウをお持ちです。もしかしたら、後継者が見つからないときは、マッチングの手助けをしてくれるかもしれません。
質問例
●この地域の製造業は、最近忙しそうにしていますか?
●金融機関の方は、決算書のどこを見ているんですか?
●私の会社は、今どれくらいお金が借りれるんでしょうか?
●金融機関の方から見た、私の会社の格付けは、どれくらいですか?
●新商品を共同開発してくれる会社をさがしているんだけど、聞いてもらえる?
●うちの会社には借入の担保がないけど、借入は出来ますか?
●事業計画書を作ったんですけど、見てもらえますか?
●決算書の報告を簡単にしたいけど、聞いてもらえますか?
●試算表で近況の経営状況を説明したいから、聞いてもらえますか?
●うちの会社は、従業員の年齢層が高いけど、この地域の他の会社も同じように年齢層が高いかな?どう思われますか?
※こんな感じで金融機関の方に質問してみてください。社長力アップのために。

相続のポイント
相続税というのは、税務調査の可能性が高い分野になります。では、その税務調査の可能性を低くする方法は、ないのでしょうか?
例えば、税務署出身の税理士さんや金融機関紹介の税理士さんに依頼すれば、税務調査の可能性は低くなるのでしょうか?答えは、NO.

相続の税務調査の可能性を低くする方法は、「33条の2の書面添付」をすることです。これは、税理士の保証書みたいなものです。この33条の2の書面添付に税理士が嘘を書くと、税理士資格がはく奪されます。ですから、税理士の資格をかけた保証書を添付することが、税務調査の可能性を低くする最大のポイントです。
相続の税務調査で一番税務署が見てくるのは、通帳です。相続開始前の3年間で贈与があれば、それは相続財産に含まれますから、税務署としては追加税金がとりやすいのです。税務署員も自分の成績を上げたいわけです。

通帳の引出しに50万円とか100万円などの引出しが頻繁にあると、亡くなった人が生前に誰かに贈与をしていたと疑われます。それをメモを書くことによって、贈与ではありませんよと主張します。ただメモだけでは弱いので、そこに領収書をつけます。
生前に通院や旅行や買い物で多額のお金を使っていたなら、その領収書を見せることによって、贈与ではありませんと主張します。つまり領収書の有無が重要なのです。

対策としては、相続がちかいと感じ始めたら、とにかく全ての領収書を保存しておくことです。まとめます。
① 33条の2の書面添付を行えば、税務調査の可能性はかなり下がる。
② この書面は、税理士の首がかかっている。嘘は言えない。
③ 相続開始前3年間の通帳コピーに、支出の内訳をメモする。
④ メモだけでは弱いので、領収書を添付する。
⑤ だから、税務署に対抗するためには、領収書は絶対条件となる。
⑥ ○○税理士だから見逃してもらえる。という人脈が通用するほど、税務署は甘くない。

おじいちゃん、や、おばあちゃん、の領収書をいちいち保存する人は、この世の中に1%もいらっしゃらないと思います。でもそれが大切なんです。ちょっと手間ですが、相続が発生したときは、ものすごく助かるんですよ。あなた様ご自身を守ることになります。

※財産の額からみて、相続が発生しない方は、領収書の保存は必要ありません。