事務所通信

事務所通信 平成29年2月

つれづれ日記 3回目
近頃、あるご縁で半田市まで行ったりします。岩倉駅から金山・太田川を通過し、半田市へと入ります。このコースの車窓から見える風景が好きです。特に川を何度か通過する部分が好きです。川の流れる街というのは、情感があっていいなと思います。
その半田の方が近江商人の言葉を教えて下さいました。とても良い実践的な言葉だと思いましたので、裏面にご紹介させていただきました。
その半田の方とは、経営理念についてお話をさせていただくことが多いです。たいへん楽しい清談の時間です。私は、この方は強い人だなと感じます。なぜならまず①経営理念をしっかりとお持ちである②従業員の給与を減らすという戦略はとらない③本をよく読まれる④3店舗の帳簿を自分でパソコンに入力している(経営状況がすぐにわかる) そして、これだけのことをされる人なので、いずれ大社長あるいは卓越経営者になられるだろうと確信するのです。
財産や運やコネが結果として現れるのではなく、その人の心の形が現れるのが会社だと最近つくづくに思います。さて、私の心はよどんでいないか?自問自答すると、少しあせります。

近江商人の商売の10教訓

① 商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
② 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
③ 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
④ 資金の少なきを憂うなかれ。信用の足らざるを憂うべし。
⑤ 無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
⑥ 良き品を売ることは善なり、良き品を広告して売ることはさらに善なり
⑦ 紙一枚でも景品はお客を喜ばせるものだ。
つけてあげられるものの無い時は笑顔を景品にせよ
⑧ 正札を守れ!値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
⑨ 常に考えよ、今日の損益を。
今日の損益を明らかにしないでは寝につかぬ習慣にせよ
⑩ 商売には好況、不況はない。いずれにしても儲けねばならぬ

上記のような言葉を経営理念と言ってもよいと思います。ある会社では「親孝行をする」という言葉を経営理念にして、お店のスペースに親子体験コーナーを設置し好評を得ております。社長の最大の権力は、「経営理念を自分で作れる」ことではないかと感じます。

経営理念は何をすべきかということを決定するのに役立ちますが、「何をしてはいけないか」ということを決定する際にも役立ちます。経済学者のポーターは、経営とは「やってはいけないことを決定すること」だとも言っております。

そういえば私の人生、回り道ばっかりしてきたなーと思います。やってはいけないこと、やる必要のないことばかりやってきた半生だったような気がします。芸術家のような特別な才能のない私は、あまり周り道をしないで、せめて人様とくに経営者様とその従業員さまのお役に立てるように、精進しなければならないなと思うところです。

破産者の帳簿は、デタラメ。
「毎日、毎日、経理の帳簿を付けるのめんどうだなー、3か月まとめてやればいいや。税金の申告が出来ればそれでいいから・・・」、こんなふうにお考えになったことは、誰しもおありだと思います。お気持ち、すごーくわかります。
でも一般的に、帳簿は日々かかさず記録するように言われています。なぜでしょうか?
法律的見地から申しますと、証拠能力を高めるために日々帳簿をつける必要があります。例えば、半年前の飲食の領収書が出てきて、これを誰と行ったのか正確に答えることは難しいです。そういった理由で、日々帳簿を付けていないと、領収書が存在していても、いざ裁判などになったときに、それの証拠能力はなくなります。つまり自分を守る証拠がなくなるのです。
でも、こういった法律的見地からの理由をご説明しても、いまいちハートに迫るものがない、という方もいらっしゃるようです。
では、日々かかさず帳簿に記録する必要性を、経営的見地から申し上げます。そのためには、時代を1800年代までさかのぼらねばなりません。ときは、1830年代の都市国家(現在のドイツのあたり)です。当時、国家の財政を安定させるために、王様が学者達に相談しました。そうすると、破産者が多いので、破産しないように法律を作る必要があるという結論にいたりました。結局、破産してしまうと、その破産者だけでなく、その周辺の債権者もお金が回収できないで、つぶれてしまうからです。とうじの都市国家では、次々と破産者が出ていたようです。
そして、なぜ破産してしまうのか?という破産の原因を学者達に調査させました。そうすると、ある共通点が見つかりました。それは、「無秩序に商業帳簿をつけている」ということでした。簡単に言うと、破産者の帳簿は共通してデタラメだったのですね。そのような経緯で、当時の都市国家では破産防止のために、商業帳簿を正確な簿記によってつくりなさい、ということが法に定められました。

帳簿がしっかりと付けられていない職場に共通することがあります。それは、現金実査(げんきんじっさ)をしていないということです。現金実査とは、帳簿上の現金と金庫の中の実際の現金が一致しているか毎日確認することです。社長と会社のお財布を分けなければいけませんし、従業員の仮払旅費などを精算しなければなりませんので、現金実査は面倒な作業なんですね。私もこの面倒な現金実査が苦手です。現金実査をいかに楽に行うか、それを次ページでご説明させていただきます。

現金実査をするためのツール 下記商品 舩橋会計でご購入できます
コインカウンター

金庫

金種表
これは金種表です。毎日、紙幣の数を数えます。盗難防止、節約にも役立ちます。

旅費精算所

これは、営業マンなどが出張した際の旅費を精算するための用紙です。

ファミリー会社や一人会社ですと、自分のお財布から旅費を支払います。そのあと、会社の金庫から使用した分を引き出して精算をしなければなりません。
1円単位の精算なので、忙しい人にとっては面倒どころか苦痛な作業となります。でも、これをしないと会計データの現金残高と実際の金庫の現金残高が一致しません。

一致しないとどうなるか → 正確な経理をあきらめます すると → 3か月後の資金繰りの予想が不可能となります あるいは → 長期間回収できない債権の発見が遅れます そして → 資金繰りに困り 条件の悪い取引をしてしまいます

では現金実査そのものをしなくても良い環境を作ればいいですよね。

現金実査そのものをなくす、あるいは楽にする方法
① クレジットカード(事業専用)で買い物をします
② 電子マネーを使います
③ ホームセンターでなく、アスクル・アマゾンなどで買い物をします
④ スーパーのレジでは、買い物カゴの商品を私用と事業用に分けて、レシートを2枚発行してもらいます
⑤ 私用の財布と事業用の財布を二つ持ち歩きます
⑥ 旅費精算などは、毎日でなく1週間単位でまとめて精算します
⑦ 身内では出来ないのであれば、月3万円程度で経理のアルバイトを他人に頼み、現金出納帳をつけてもらいます

現金実査を行い、現金出納帳を毎日記入することは、とても難しいことだと思います。面倒だし、直接お金を生む仕事ではないからです。
でも倒産する会社は、まず現金実査と毎日の現金出納帳記入をしておりません。この単純作業の連続を愚直なまでに誠実に行っていくことは、私も含めて誰にとっても困難なことだと思います。一緒に頑張りましょう!!