事務所通信

本の紹介

コロナ禍で気持ちが沈む日々の中、お客様に勇気を少しでも持っていただきたいと思い、この本をご紹介させていただきます。

題名:リーダーの「挫折力」
2021年3月11日 第1版第1刷発行
著者:冨山和彦  発行所:㈱PHP研究所

この冨山さんという方は、以前から気になっていました。とてもお行儀が悪いから。東大在学中に司法試験に合格したエリートなのですが、とにかくお行儀が悪い。
司会者が次のコメンテーターに話かけても、いつまでも自分の意見を言っている。もうエンディングの曲が流れているのに、いつまでも自分の意見を言っている。空気が読めないとは、こういう人のことを言うんだなと印象に残っていました。
子供の習い事の待ち時間に、本屋でたまたま見つけたので、立ち読みしてみたら、なんだかすごく面白くてそのままモスバーガーに入り、読書にふけってしまいました。
印象に残った言葉が二つありました。一つは、「困難な中にも幸福への招待状が紛れている」ということ。二つ目は、「自己破産なんて失敗にもならない」という強気な発言。絶対的窮乏の中では、このような人の発言が温かいスープとなって心の中に入ってくるのだろうな。もう冷めてしまったスープを一気に飲み、僕はモスバーガーを出た。
冬のビルの谷間風は、容赦なく襟元から入ってくる。どんな人でも、ある日突然、絶対的窮乏が襲ってくる可能性のうえに生きている。
お金持ちも順風満帆な経営者も、ある日突然、自分の力ではどうにもならないような貧困に襲われる権利をもっているのだ。果てることのない、偉大なる人間苦だ。
ある者は、獣道(けものみち)を行き
ある者は、巫女(みこ)になり
ある者は、奥深い山に住み
ある者は、天狗となり
ある者は、街へ降りて聖(ひじり)となる
まれびと、と呼ばれるようになる
誰にだってその可能性はあるのだ

そんな事をふと考えたりするが、この冨山さんは強い。失敗をした方がいい。またやり直せばいい。人間として最低限の生活が出来れば十分だ、と本気で考えている人だ。

だから冨山さんの発言を聞いていると、心が軽くなります。
コロナ禍で沈んでしまった心を軽くするには、冨山さんのような強烈な異端児の言葉が必要なのではないかと感じます。
まったくお行儀が悪いけど、憎めない、愛すべき人だと思いました。