事務所通信

事務所通信 平成31年3月

つれづれ日記
事業承継セミナー
平成31年2月8日
向春の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。日頃は大変お世話になっております。きたる3月22日(金曜日)にダイワハウス愛知北支社(小牧市中央2丁目172)で事業承継のセミナーをさせていただきます。事業承継に関係のある方も関係のない方も、みなさまお越しいただいて未来の経営に思いをめぐらせていただき、日々の日常業務から離れる時間をひとときではありますが、お過ごしいただきたく存じます。

さて、みなさまは、後継者がお決まりでしょうか?あるいは、もし後継者を決定するならどのような人物がよいかイメージされておられるでしょうか?そもそも後継者にする人物は、どのような者がよいのでしょうか?一般的に後継者は、仕事のできる能力の高い者が適していると考えられていると存じます。しかし、能力さえ高ければ後継者としてふさわしいことになるのでしょうか?

事業承継とは経営者の最後の花道です。その花道を無条件に長く祝福してくれる後継者が望まれます。晩年に花を咲かせるお手伝いをしてくれる人物が後継者としてふさわしいのではないでしょうか。これは、会社に限らず一般家庭でも同じことです。老後というゴールデンエイジは、信頼のできる自分を立ててくれる人物と同じ時間を過ごしたいのが人情です。

そのように考えると単に能力の高い人物よりも、自分と価値観が似ている人物の方が後継者にふさわしいのではないかという考えも出てきます。もし後継者の選択肢が親族しかない場合には、その者が自分と価値観が似ているのか確認してみる必要があると存じます。

以前、私が会社勤めをしていた頃に、とても切れ者とはいえないでも憎めない上司がおりました。その上司は、仕事道具といえばセロテープとホチキスしか使えませんでした。当然、コピーも出来ませんし、パソコンも出来ない。でも一番早く部長になりました。記憶に残っているのは、飲み会のときに従業員がみんな部屋に帰っていくのに、その上司だけは最後まで社長とお酒を飲んでいたことです。そのときは、お酒を飲める人物は仕事が出来なくても出世するのだなと考えていました。でも、今は違う解釈をしております。

おらくその上司は、社長と価値観が似ていたのだろうと存じます。そして、その社長は、「価値観が似ている人物を自分のちかくにおいておかないと、会社がダメになる」と経験的にわかっていたのではないでしょうか?例えば、新しい開発をしたい社長の周りに、保守的な人物ばかりがいたら、いっこうに新商品は出てこないと存じます。また、営業に力を入れたい社長の周りに、人付き合いが苦手な人物ばかりいたら、いつまでたっても営業戦略は実行されません。

これは、事業承継に限らず、日常業務の中でもいえることだと存じますが、自社の従業員をみるとき、最も大切なのはその従業員の能力ではなく、「価値感・考え方が社長に似ているか」ということだと存じます。人の価値観とうのは簡単に変わるわけではありません。保守的で安定志向の人間が積極果敢でアグレッシブな人間に簡単に変わるとは思えません。ルーティンワークに安心を感じる人間が、常識をくつがえすアイデアをどんどん出してくるとは思えません。

そうなると後継者あるいはナンバー2というのは、育てるものではなく、出会うものなのかもしれません。また、そのような着眼点で従業員を見ていれば、ほんとうに後継者としてふさわしい人物が誰なのかおのずと決定されるかもしれません。

最悪、従業員全員が社長と価値観が違う場合は、どうしたらいいのでしょうか?私は、経営理念を明文化することが必要だと存じます。経営理念や経営方針、行動指針などを言葉でなく、明文化して従業員にそのノートを配る。そして折に触れて朝礼などで、そのノートをみんなで読んで確認する。ときには、社長が自分の体験談を交えながら話し、なぜこの経営理念にしたのかということを伝える。そういった取り組みが大切ではないかと存じます。

会社には、さまざまなルールがあります。細かくいえば、火曜日にはゴミ当番がゴミを出すとか、お客様がいらっしゃったら全員規律して挨拶をするとか、現場にゴミが落ちていたらひろうとか、探せば会社にはいくらでもルールがあると存じます。それらは、御社では守られているでしょうか?経営理念や行動指針を確認しないままに、従業員に「ルールを守っていない」と注意しても、従業員は頭で理解できても心が納得しないかもしれません。

会社の未来を語る経営者はたくさんいらっしゃいます。でも従業員の未来を語る経営者は、あまりみえません。従業員の10年後の仕事内容やスキルのレベル、それを身に付けるための研修プログラム、10年後の給与の金額、それらを真剣にかたる経営者の方は、驚くほど少ないのです。

従業員にヤル気を出して欲しいがために、経営者は賞与を支払ったり、社員旅行を企画したりします。もちろんこれらにも一定の効果はあるのだろうと存じます。でも、本当に従業員の目の色が変わるのは、経営者がその従業員の未来を語ったときです。それは、お金などの誘引要素よりも強烈な力をもちます。

自分の未来を一生懸命に心配して語ってくれる経営者のためなら、従業員は信頼してついていくことでしょう。「この経営者と一緒に仕事が出来るなら、たとえ事業が失敗しても後悔はしない。自分のためにではなく、この経営者を男にしたいから自分は命をかけて働く。」そんなふうに従業員が思ってくれたら、必ずその会社は急成長します。経営理念のない会社では、従業員の心をそこまで振るい立たせるのは無理だと存じます。また経営理念があっても額縁に飾ってあるだけで、朝礼などで経営理念の浸透を図っていない会社も無理ではないかと存じます。

技術的な戦略の前に、まず従業員を本気にさせなければなりません。ただし、いきなり経営理念と言われても、それをどう作成して、どう浸透させて、どう運用させていけばいいのかわからない場合も多いと存じます。こういったことを専門に取り扱っているコンサルタント会社も世の中には多数あります。たいていは、高額であまり効果がないものなのですが。

舩橋会計では、無料で経営理念の運用のお手伝いをさせていただきます。月次巡回監査で会社さんを訪問させていただいた際に、社長さんに質問をさせていただき、少しずつ経営理念や行動指針、そのための具体的な行動目標を作成していきます。それらは多い場合には、100ページくらいにもなります。こうしてまとまったものをノートにして、そのノートのことを舩橋会計では「未来ノート」と呼んでおります。

舩橋会計と一緒に未来ノートを作成しませんか?必要なのは金銭ではなく、社長さんのヤル気です。未来ノートは精神論や空想だけで未来の経営方針を作成するのではありません。TKCの継続MASというシュミレーションソフトを使い、資金繰り的にもその目標が実行可能なのかということを検証しながら作成してまいります。こういった取り組みを顧問契約されているお客様に対して無償で行っているのは、舩橋会計くらいではないかと存じます。

なぜそれが出来るのか?それは月次巡回監査で頻繁にお客様の所に訪問させていただくのと、TKCの会計ソフトと継続MASという未来シュミレーションソフトが連動されておりボタン一つで会計データを取り込めるため、資料作成のための時間が少なくて済むからです。

会社を生まれ変わらせるために多くのお金と時間を使う必要はございません。舩橋会計に「未来ノートの作成を希望する」と電話一本かけていただければよいです。ただし、舩橋会計と税務顧問契約を結ばれておられない会社様は、未来ノート作成のために、以下の料金が発生します。

① 経営理念・経営方針・行動指針の作成及び明文化
2時間×2回  40,000円(税抜)

② TKC継続MASによる未来5年計画作成
2時間×2回+資料作成  80,000円(税抜)

③ 未来計画発表会
社内会議を開き、そこで社長の経営理念や未来ノートを発表していただきます。未来ノートの運用の仕方を弊所からご説明させていただきます。
1時間  10,000円(税抜)
※交通費が発生する場合には、別途料金をいただきます。

上記金額は、舩橋会計と税務顧問契約を結ばれているお客様は無料とさせていただきます。月次巡回監査の中で進めさせていただきます。
この未来ノートは、イベント的に1回作成するのではありません。毎年、少しずつ修正をして磨き上げていきます。そして従業員さんは、具体的な行動目標を記入して、それが実際に行動されているか検討・反省していきます。
このように従業員さん自身が未来ノートに書き込んで自分の言動をみつめPDCAサイクル(計画⇒実行⇒チェック⇒改善)を繰り返し行っていきます。社長の理念だけが書いてあるのではなく、従業員さん自身が自分の行動目標を書き込んでいくので、「ノート」とネーミングしております。日々の業務の中で社長の発言した意図が理解できない場合には、未来ノートを見て、社長はなぜその発言をしたのかということを考えたりします。つまり未来ノートというのは、従業員さんが自分の定点を理解し迷いなく一定の方向性をもって業務に集中するためのバイブルなのです。いつもカバンや机の引き出しに入れておいて、未来ノートがボロボロになるまで繰り返し見て確認し書き込んでいく、心のよりどころなのです。

このような状態になったときに社長の経営理念は、従業員さんに浸透していきます。会社の方向性が一つになっていきます。そうなると従業員さんがそれぞれ個人単位でアイデアを出したり新戦略に挑戦したりして違うアクションを起こしても、そこに一定の共通性があり、おなじ方向性を持つようになります。
個人単位のそれぞれのアクションが違っても、方向性が同じであるとそこにブレイクスルー(急成長・障壁突破)が起きる可能性が高まります。 ブレイクスルーは、一獲千金のようにたった一つの企画で発生するのではなく、多くの同じ方向性をもったアクションが集積することによって発生します。飛行機もライト兄弟が発明したことになっていますが、彼ら以前に多くの研究者が飛行試験に失敗してその延長にライト兄弟の成功がありました。蒸気機関車といえばジェームズ・ワットが造ったとイメージされていますが、それ以前にイギリスの産業革命という流れがあってその延長にワットの蒸気機関車が生まれています。

最後に、経営理念はあまり難しく考えないでいただきたいと存じます。ある企業ですと、「親孝行」や「掃除」や「お客様への感謝」を経営理念にしています。また「ワクワクする」とか「人と自然と響き合う」という、ちょっと抽象的な経営理念もあります。また長文の作文のような経営理念もあります。また状況によっては、経営理念そのものが変化することもあるでしょう。要は何でもいいのです。経営理念の内容自体は、あまり問題ではありません。気軽に考えればいいです。大切なことは、その決めた経営理念が最終的に具体的に従業員さんの態度や心に浸透しているかという部分です。

例えば、ガソリンスタンドのスタッフがお辞儀を45度でしたとします。そのスタッフが、「マニュアルで決まっているから45度でお辞儀をする」と考えるのと、「経営理念がお客様への感謝なので45度でお辞儀をするし、その理念に共感できるからお辞儀をした後は清々しい気持になる」と考えるのではどちらが良いでしょうか?私は、後者の方が良いし、売上も伸びるだろうと考えます。このように従業員さんの態度や心境に経営理念を浸透させるには多くの努力と時間を必要とります。簡単ではありません。まず経営理念を発表したとたん、それに不満や異論を唱える者が発生します。それが普通です。最悪の場合は、退職者まで出ます。

じゃー、そんな危ない面倒な経営理念なんか発表しなければ、なければいいよ、と考えてしまうかもしれません。でも経営理念の浸透していない会社は、社長のいないところで従業員が社長の悪口を並べたりします。社長の方針が明文化されていないためバラつきがあるし、社長の方針をそもそも理解していないためその指示に不満があるからです。会社や自分の未来を語らない閉ざした経営者を心の底から信用出来ないのです。つまり経営理念を定めても苦労は多いし、定めなくても苦労は多い。前門の虎、後門の狼です。

だったら勇気を出して、経営理念を発表し、それを、時間をかけて従業員に説明していった方がよいのではないでしょうか?なぜなら経営理念を初めて発表した時は、静かな湖面に投げ込まれた石のように波紋を呼びますが、その波紋がやめば意志の統一された強い会社が生まれるからです。いっときの波紋を乗り越えればいいのです。
でもいつまでも経営理念を定めないと、いつまでもあちらでアクションが起きて、こちらでアクションが起きて、それでおしまい。点と点が線でつながらない、偶然にあちらこちらで線香花火が音を立てるだけという成果のあがらない状態が続いてしまいます。
経営理念を浸透し始める初期段階は、もしかしたら従業員との闘いの日々が始まるかもしれません。でもご安心ください。社長の心の中に従業員を親族同様に愛する気持ちがあれば、その思いは必ず伝わりやがては理解してくれるはずですから。社長は、なぜその仕事を始めたのでしょうか?その体と頭を使ってこの世の中に何を残したいのでしょうか?それが経営理念です。その仕事をいやいや始めた人ほど、輝くような経営理念をお持ちです。その仕事が一番やりたかった仕事ではないという人ほど、経営理念を生かして業績を上げていたりします。世の中の不思議な摂理を感じます。

3月22日の事業承継セミナーでは、税務の技術的なお話しをさせていただきますので、上記のような経営のお話しはあまり出てきません。名刺交換の時間もありますので、ご都合よろしければご参加ください。また消費税も10%になり軽減税率が始まりますので、そのセミナーも6月頃に行いたいと存じます。まだまだ寒い日が続きますので、ご自愛いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。      税理士 舩橋信治


事業承継セミナー
向春の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。日頃は大変お世話になっております。きたる3月22日(金曜日)にダイワハウス愛知北支社(小牧市中央2丁目172)で事業承継のセミナーをさせていただきます。お忙しいとは存じますが、今後の経営判断のお役に立てていただけるはずですので、お越しただきたく存じます。

事業承継とは税務的な面からみますと、株の移動が中心となります。会社の内部(ないぶ)留保(りゅうほ)がすすみ株価が上昇しておりますと、株の移動に贈与税や譲渡税などが発生します。例えば預金や資産の合計が2億円あったとします。借入金などが少なければ、株の移動に5千万円の税金が発生するなんてことはよくある話なのです。たとえ300万円の資本金でもそうなるのです。株評価は、資本金の金額と同じにはならないのです。

平成30年度の税制改正によって新しい特例(とくれい)事業(じぎょう)承継(しょうけい)税制(ぜいせい)が創設されました。それによって贈与税及び相続税の納税(のうぜい)猶予(ゆうよ)が非常に有利になり、かつリスクもかなり減少しました。この特例を適用するには平成30年4月1日から平成35年3月31日までの5年間の間に、計画書を県へ提出しなければなりません。その計画書を提出して、やっぱり特例を受けませんでしたということになっても、何も罰金はありません。

とりあえず計画書を県に提出しておいて、特例を受けるかどうかはその後にじっくり考えればよいのです。反対に、この計画書を提出しておきませんと払いきれないほどの贈与税や相続税を負担しなければならなくなる可能性がある企業も多いのです。
特例を受けるための計画書の提出は、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けなければ県は受け取ってくれません。舩橋会計は、その認定経営革新等支援機関として経済産業大臣から認定されております。セカンドオピニン的にアドバイスさせていただくことも可能です。
セミナーでは難しい上記の特例をわかりやすく解説させていただきます。


事前に告知させていただきました通り、平成30年分の年末調整の資料を平成30年11月15日までに全て舩橋会計に郵送していただきました会社様に感謝状を送らせていただきました。本物の感謝状は、私の名前のとなりに印が押してあり厚紙で作成されております。
この感謝状を受取るということは、なかなか難しいです。以下の要素が会社にないと早く資料を集めることは出来ません。
① 会社内部での事務情報の伝達の早さ
② 経営者の呼びかけ・協力(提出が遅い従業員さんに対して)
③ 会計データ入力が遅れていないこと(遅れていると資料収集どころではないので)
実際にこの感謝状を送らせていただいた会社様は、経理処理も遅れていないので経理担当者は資金繰りの予想までされております。そしてご不安な場合には、いつも舩橋会計に電話をかけてくださいます。
これからも折にふれて感謝状贈呈を事前告知させていただきます。経理はお金を生まない作業ですが、それに愛情を注いでいただきますと、会社は良くなります。反省と予測をするための新鮮な情報を得ることが可能となるからです。それは、数値に基づいた客観的資料であるため、経営者は俯瞰的(ふかんてき)な目で自社を見られるようになります。
俯瞰的とは、上空から鷹(たか)が兎(うさぎ)を探すように全体が見えている状態です。鷹は兎を見つけると一気に急降下してその鋭(するど)い爪(つめ)で捕獲(ほかく)します。鷹の目をお持ちになった経営者は、それはそれは真に強い者でございます。